ハローワーク35歳以上の方こちらへどうぞ diary

2015年からの所得倍増計画。2019年まではほぼ実現中

空前絶後の春画ブーム

芸術新潮 2013年 12月号 [雑誌] 

 

 

噂の日本初の大春画展を観に、これまた噂の永青文庫へ行ってきました。

 

平日のまっ昼間から春画ラッシュ

 

噂通り、平日のまっ昼間だというのに、ものすごい人、人、人。

近辺の道路はすでに「春画渋滞」状態。

f:id:dayou:20151218135130j:plain

 

あと一週間でクリスマスだというのに、

目白通りイチョウ並木がまっ黄色。

12月の後半に入ってもまだまだ紅葉盛りの都内に驚きました。

f:id:dayou:20151218135516j:plain

お昼ちょうどに言ったのですが、混み始めるまさに直前。

チケットを手に入れて振り返ると、長蛇の列になっていました。

f:id:dayou:20151218134850j:plain

 

夫婦別姓の問題では100年前に振り戻された日本ですが、

春画展に関しては、庶民の方が進んでいました。

 

・展示できる美術館が見つからなかった

・スポンサーが見つからなかった

 

などの紆余曲折を経て、おそるおそるやってみたらそこはもう!

 

満員御礼。

おじいちゃんもおばあちゃんも、おばさんもおじさんも、

若者も大学生も、みんなでワイワイガヤガヤ、

胸をときめかせて観に来ている感じでした。

 

山手線のラッシュアワーかと思うくらいに、

ぎゅうぎゅう詰めにされながらみんなで春画を見るというシュールさ。

山手線で夕刊フジのエロ記事閲覧はルール違反ですが、

ここはみんなが納得して観に来ています。

やや和気あいあい。

f:id:dayou:20151218135712j:plain

 

観に来ている人たちの会話の面白さ

 

とくに楽しかったのは、前後から漏れる会話。

50代男性と40代の妻とみられる二人の会話。

 

「こんなの若者が見に来たら、勉強になるよな〜」(男性)

作品番号6,欠題春画絵巻 狩野派 17世紀前期 大英博物館所蔵 にて)

「ムフフ〜」(その妻らしき女性)

 

「江戸時代って、おっぱいに興味ないらしいよ〜」(20代女性)

 

「年寄りばっかりだと思ったら、けっこう若いお嬢さんいっぱい来てるねえ」

「大きすぎて、若い子が見たら期待しちゃうんじゃない」(60〜70代男性グループ)

 

ちなみに、若い女性やカップルもいらっしゃいましたが、

多くはやはり50代以降の年配層。

80代くらいの男性も、鼻息を鳴らしながら、

チケット代のお釣りをもらうのも忘れて、

館内へと猪突猛進していかれるところを、若い誘導のお兄さんに連れ戻される姿もみられました。

 

風刺としての春画=知性

驚いたのは、有名な絵師みんなが春画を描いていること。

北斎国芳、国貞、歌麿、広重、みんな春画を描いています。

 

なんという精神の自由さ!

 

現代では、エロ漫画家はエロ、そうでない人はエロを書かない。

細かく細分化されてしまいました。

だから近代は、生命の息吹であるとか、人間の総合的な悲しみや喜びの表現力にかけているんじゃないか、そう思うことが多々あります。

 

ただし、1722年の享保の改革では、春画は全面的に禁止されてしまい、

ペンネームを使うなど、アングラ化してしまった模様。

なんだか、現代と似てますね。

春画はもちろん、政治批判の要素もあるわけで、

政治が春画をどうにかしたくなる時代というのは、

政治が腐っていることの裏返しでしょう。

 

国芳も『金瓶梅そかのたまもの』の画を描いています。

金瓶梅曽我賜宝. 初,2-4編 / 柳水亭種清 録 ; 一勇斎国芳 画

 

金瓶梅』自体は、1573年ー1620年に中国で描かれた官能小説という形を取りながらの痛烈な政治、社会批判。四大奇書のひとつ。

 

知性というものが置き去りにされつつある時代に、

陰部そのもの、ではなくて、知性そのものを魅せつけられた気がしました。

 

図録は4000円と、コレクションしたくなるお高さ。

私は、前もって買っておいた

芸術新潮 2010年 12月号『恋する春画』特集で復習。

なんと、かなり詳しい解説!

今回観てきた春画の解説もかなり豊富。

これは今日一番得した感じのボリューム感です。 

芸術新潮 2010年 12月号 [雑誌]

芸術新潮 2010年 12月号 [雑誌]